「会社のPCって、今、何台ありますか?」
この質問に即答できる中小企業は、意外と多くありません。「だいたい30台……いや、もう少しあるかも」。この“だいたい”が、セキュリティ事故とムダな出費の温床になります。いきなり高価なツールは不要。まずはExcel(または既存の表計算)の台帳からで十分です。
「それ、うちもある」——IT資産管理のあるある
- 退職者のアカウントが、半年放置されていた(気づいたのは棚卸しのとき)
- 使っていないSaaSに、毎月課金され続けていた
- 「このPC、誰が使ってるんだっけ?」が解決できない
- ソフトのライセンス本数を聞かれて、答えられずヒヤッ
- 管理表が人によってバラバラで、最新がどれか分からない
どれも「把握できていない資産」から起きる問題です。逆に言えば、台帳が1つあるだけで、多くは防げます。
なぜIT資産管理が必要なのか(3つの効き目)
- セキュリティ:どこに何があるか分からなければ守れません。退職者アカウント放置・所在不明PCは事故の入口。
- コスト:使っていないソフト、重複契約のSaaS。棚卸しでムダが見えます。
- ライセンス・契約の順守:多くは契約条件・利用規約・監査対応の問題(無断複製・契約違反は法令リスクにも)。
なぜ“いきなりツール”ではなく、Excelから始めるのか
「資産管理ツール(SaaS)を入れれば解決では?」——もっともな疑問です。それでも最初の一歩はExcelをおすすめする理由は3つあります。
- まず「自社が何を管理すべきか」が分かる:ツールを先に入れると、その項目に振り回され挫折しがち。Excelで小さく始めると必要な項目が見えてきます(=後のツール選定の“要件定義”)。
- すぐ始められる:すでに表計算ソフトがあれば、追加コストをかけず今日から。
- 小規模ならExcelで十分回る:数十台規模なら実用上問題なし。
Excelで管理項目を固めた会社ほど、後のツール移行に失敗しません。Excelは“妥協”ではなく“正しいスタート”です。
| 状況 | おすすめ |
|---|---|
| 30台前後・単拠点・棚卸し年1回 | Excel台帳で十分 |
| 50〜100台超・複数拠点・MDM連携・監査が頻繁 | ツール(SaaS)を検討 |
まず管理する「最小項目」(増やしすぎない)
確認・更新できる項目だけに絞るのがコツです(確認手段のない項目は載せても埋まりません)。
ハードウェア台帳(PC・サーバー等)
| 項目 | 例 | なぜ要る |
|---|---|---|
| 管理番号 | PC-001 | 一意に特定 |
| 種別 | ノートPC | 棚卸し・更新計画 |
| 利用者・部署 | 営業部 田中 | 退職時に効く |
| シリアル番号 | 本体記載 | 同一機種の識別 |
| 管理責任者 | 情シス 鈴木 | 責任の所在 |
| 状態/最終確認日 | 利用中/2026-04 | 鮮度の担保 |
| 廃棄記録 | 2026-05 消去済 | 廃棄の証跡 |
ソフトウェア/SaaS台帳
| 項目 | 例 | なぜ要る |
|---|---|---|
| サービス名/契約数 | 会計クラウド/5 | ムダ・不足の発見 |
| 管理者アカウント | 経理 山田 | 退職時の引継ぎ |
| 更新月・契約形態 | 4月/年契約 | 解約・見直しの起点 |
| 退職時の停止対象 | ○ | 退職時の漏れ防止 |
| データ種別 | 顧客情報 含む | 重要度の判断 |
運用の最小手順——「更新が続く」3つのトリガー
- 入社・退社時:アカウント・端末の付与/回収を反映 → 退職者放置を防ぐ
- 購入・契約時:その場で1行追加(後でまとめては必ず漏れる)
- 年1回の棚卸し:実物と台帳を突き合わせて差分修正
退職時チェックリスト(コピーして使える)
- 各種アカウントの無効化(メール、SaaS、社内システム、VPN)
- 貸与PC・スマホ・記録媒体の回収
- 共有アカウントのパスワード変更
- 入退館カード・物理キーの回収
- 台帳の状態を「返却済/廃棄」に更新
台帳そのものをどう守るか(見落としがち)
資産台帳は社内の機微情報の塊です。台帳自体の管理も決めておきましょう。
- 保存場所・編集権限:アクセス・更新できる人を限定
- 変更履歴・版管理:誰がいつ変えたかを追える状態に
- バックアップ:定期的に退避(消失・破損への備え)
現場の視点:台帳は“確認できる項目”だけにする
いちばん多い失敗が、台帳を欲張ること。管理項目は“理想”ではなく“運用能力”で決めるのが続くコツです。また、オンプレ・クラウド・SaaSを1枚で管理しようとしないこと。性質が違うものは種別ごとにシートを分けるだけで矛盾と混乱が減ります。
ライセンス管理:監査指摘を“起点”にして広げる
ライセンスは種類が多く、全部を一度にやると挫折しがち。範囲を絞る → 現状把握・可視化 → 小さくスタートが現実的です。実際の現場では、監査での「ID管理・権限の棚卸し」指摘が対応を進める起点になりました。指摘事項を起点に、ID棚卸し→権限の最小化→定期棚卸しの仕組み化、と広げるのが効きます。
まとめ
- IT資産管理はセキュリティとコストの土台
- まずは確認できる最小項目で、種別ごとに台帳を作る
- 入退社・購入・年1棚卸しの3トリガーで更新を回す
- 退職時チェックリスト・SaaS棚卸し・台帳自体の保護も忘れない
IT資産管理 台帳テンプレート(Excel)を無料プレゼント
メール登録で、ハードウェア台帳+退職時チェックリストを無料でお渡しします。SaaS台帳・自動集計まで入った「完全版」も準備中——ご登録の方へ先行ご案内します。
無料テンプレートを受け取る(ダウンロード)コンテンツ・掲載・取材に関するお問い合わせは こちら
参考・出典



コメント